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SCP-1050-JP - 気の触れた理論絶対室と正気の扉

ItemNumber

SCP-1050-JP

Object Class

Keter

Protocol

SCP-1050-JPは現在専用収容施設サイト-8115に収容されています。SCP-1050-JPは当該サイト中心部の完全気密室に収容されています。気密室内へのいかなる存在の進入も、未然に防止されなくてはなりません。そのための措置として、現在W3鉄鋼材を主要素材とした合金製の密閉容器二層と、カーボン遮光材一層と、防酸化処理済みのタングステン密閉容器一層により、気密室は防護されています。

これらの防護層内、あるいは気密室内への立ち入りは全セキュリティクリアランスに於いて禁じられており、これらへの進入に関する規則違反に対しては日本支部理事会で処罰の内容が協議されます。

 

サイト-8115では現在機動部隊に-09"駆け足"が警備を行なっています。SCP-1050-JPの収容施設の警備は必ず同等規模以上の戦力にあたらせてください。

Steve corking氏の映像データの閲覧はセキュリティクリアランス2以上の承認1つ以上の提示で可能となります。映像データを除いた詳細、あるいはGOCからの委託資料の閲覧は当該研究チームに直接問い合わせてください。

 

SCP-1050-JPは速やかな無力化が奨励されていますが、SCP-1050-JPに関連するどのような実験も、日本支部理事会によって協議され、可否の決定が下されるようにしてください。

実験時のみ、各防護層内部までの進入が、特別に許可を得た人員と機材のみ許諾されます。これらの人員と機材は事前に専用の精神鑑定と検査、点検等により問題なしと判断されたもののみが選別されます。

このような特別な許可を得た人員に於いても、気密室内への進入は許可されません。

 

Description

SCP-1050-JPは外観上縦4.8m×横8.3m×高さ2.5mのモルタルによって構築された小屋です。窓や通気口、地下等は無く、開き戸式のドア一つのみで出入りが可能な構造となっていると思われます。

GOCより管理を委託された段階で、既にSCP-1050-JP内部への探査は実行が不可能であると推察されていたため、内部の現在の状況については確認されていません。

 

SCP-1050-JPの異常性は、GOCにより接収される以前の持ち主であったSteve corking氏の自宅に残されていた映像を含んだ資料と、映像内での同氏の発言と、GOCからの調査資料に基づいて推測されたものです。

SCP-1050-JPは、それを構成する素材の全てが破壊不能であり、経年劣化の兆候も認められません。これはSteve corking氏の資料から得られた知見ですが、現在までの収容継続から観察された範囲でも、事実である可能性が高いと結論づけられています。

ドアはドアノブを捻り、回転させて開閉するという通常の手段で開閉可能と思われますが、破壊不能でどのような干渉も受け付けません。

これらの性質によってSCP-1050-JPは現在までの収容が継続されていると見られていますが、いかなる放射線も透過しないために内部への観察が困難を極めています。

 

SCP-1050-JPはその内部に、何らかの理論と、その理論に基づいた実験方法と結果予測が記された媒体を持ち込み、それらの内容を読み上げることで顕著な異常性が発現します。

読み上げが完了し提示された通りの実験が開始された場合、SCP-1050-JP内部は、読み上げられた理論がどのような荒唐無稽なものであっても、その理論と実験方法と結果予測に一定の一貫性が存ずる場合、その理論が実現するよう物理法則が変容します。

この変容は実際に実験を行う際、実験対象に対してのみ適用されると思われ、実験対象を除いた存在に対しては必要最低限への変容のみを行うようです。

 

SCP-1050-JPが判断する一貫性、または理論の実現のための変容の内容と範囲については、SCP-1050-JP独自の基準や解釈が存在すると見られており、それらに何らかの法則性があるかどうかが現在調査されています。

また、SCP-1050-JP内部の物理法則の変容は、一つの実験が終わっても、また異なる理論と実験方法と結果予測が持ち込まれ、読み上げられることで上書きされない限りは、最新の状態を維持すると思われます。

また、物理法則の変容は段階的に行われると見られており、全てが同時に展開されるケースは記録されていません。実験経過は時間とともに激化するものであり、実験開始直後には変容がゆるやかなものであると推測されています。

 

Steve corking氏の遺留品からの記録: SCP-1050-JPはGOCより管理が委託されたオブジェクトですが、GOCの管理下に置かれる前は███大学への留学生Steve corking氏によって所有されていました。

Steve corking氏はSCP-1050-JPを用いて独自に実験を行なっており、それら実験を映像として記録していました。以下は、その中でも重要性の高い記録の抜粋です。

Steve corking氏個人に関するデータは当該研究チームに問い合わせてください。Steve corking氏の発言とされているものは翻訳文を載せています。原語版を閲覧する場合は当該研究チームに問い合わせてください。

 

映像記録1050-01 映像内日時1995年██月██日

<映像開始>

SCP-1050-JP内部と思われる空間が映る。外観のモルタルと同素材のように見える壁と床が映っており、視点の高さから、カメラは床に置かれていると思われる。画面の中央には高さ30cm程度と思われる白い円卓が置かれているが、これがSCP-1050-JPの一部なのか、Steve corking氏が外部から持ち込んだ物なのかは不明。

白人男性がカメラを覗き込む。Steve corking氏の顔データと一致するため、本人と思われる。

Steve corking氏: 映った。転送も [顔が画面上部に見切れ、7秒ほど沈黙] 出来てると思う。

Steve corking氏が円卓の奥に移動して床に座り、カメラの方を向く。

Steve corking氏: これが、記念すべき一回目の記録だ。とりあえず、まずは、この部屋について言っておかなくちゃならない。一ヶ月ほど前に、ある人がこの場所をくれた。どんな実験でも、この場所では成功してしまうらしい。本当に、どんな実験でもだ。その人は私の目の前でサブリミナル効果を完全に再現して、私は水道水を3リットルもガブ飲みしてしまった。その後、私自身もこの部屋を少し試してみた。間違いなく、ここは科学という名の魔法に相応しい部屋だと思った。

Steve corking氏が立ち上がり、画面左方に見切れるまで歩いていく。

Steve corking氏: この部屋を他の誰かに教えるべきだろうか、とも思った。でもあの人は私にこの部屋を教えたんだ。私が使うべきだと思った。この部屋を使えば、きっととてつもなく素晴らしいことが出来る。だからそれを記録する。

Steve corking氏がイエネコの入ったケージと、何らかの中身が入ったポリ袋を持って再び画面左方から現れる。それらを円卓に置くと、Steve corking氏はカメラに向き直る。

Steve corking氏: でもあの人が言っていた。実験が複雑であればあるほど、この部屋は予想もつかないことをする。それはなんとなく私にもわかった。犠牲なくして進歩なしだ。でも、何が起こるかわからないから、この映像はリアルタイムで僕の家のパソコンにコピーが転送されて保存されるようにした。結構お金がかかっちゃったけど、それに見合うものを得たい。

Steve corking氏がポリ袋から一枚の紙を取り出す。

Steve corking氏: この部屋の使い方は、論文と、実験方法と結果予測の書かれた紙を持ち込んで、それを声に出して読む。それから、その通りに実行する。そして今回は、マーフィーの法則を使った無限運動実験をやってみることにする。

Steve corking氏が手に取った紙に書かれた文章を読み上げ始める。

Steve corking氏: マーフィーの法則は、失敗する可能性のあることは必ず失敗する、という経験則あるいは教訓としてのユーモアが元々だが、今回はそれらの例の一つである『トーストがバターを塗った面を下にして落ちる確率は100%である』というものに絞って実験を行う。この例に基づいた上で、バターを塗ったトーストを、バター面を上にした状態でイエネコの背中に貼り付けて、イエネコが身を翻して綺麗に着地できる最低限以上の高さから落とすことで「イエネコは反転して綺麗に着地する」事実と「バター面を下にしてトーストは落ちる」事実を衝突させる。こうすることで二つの事実は相互に作用し、どちらかの事実に結果を帰結させ続けようとすることで無限に空中で回転し続けるはずである。

[4秒沈黙]

Steve corking氏: 実験方法は、トーストの片面にバターを塗り、バターを塗った面が上になるようにして正常姿勢のイエネコの背面に固定する。固定具は、今回はダクトテープを使用する。ダクトテープがトーストのバター部に接触しないよう心がける。そうして準備したイエネコとバタートースト、即ち実験対象Aを61cmの高さから自由落下させる。

[4秒沈黙]

Steve corking氏: 結果予測は、先に述べた通り、「イエネコは反転して綺麗に着地する」事実と「バター面を下にしてトーストは落ちる」事実が相互に作用し、どちらかの事実に結果を帰結させ続けようとすることで無限に空中で回転し続けるはずである。

Steve corking氏が提示した実験方法通りの準備を行う。重要性が低いと判断されているためここでは割愛する。

Steve corking氏: さて、いよいよだ。すごく緊張してるよ。猫が爆発するかもしれないけど、信じることが重要な気がする。

Steve corking氏が背面にバタートーストを固定したイエネコを落とす。

イエネコとバタートーストは数cm落下したところで回転を開始し、空中に固定される。回転の速度は徐々に増しているように見える。

Steve corking氏: やった! 実験せいこ

突如回転が停止し、イエネコとバタートーストが円卓上に落下する。イエネコは仰向けで昏倒しているように見える。

[11秒沈黙]

Steve corking氏: どうやら、イエネコが回転に耐え切れず気絶してしまった。それで「イエネコは反転して綺麗に着地する」事実を支える「イエネコの高い運動能力と柔軟性」がこの空間から失われたことで、回転が止まってしまった、ということだと思う。この子は、どうやら生きてるらしい。でも部分的に実験は成功したから、無限のエネルギーをこの部屋から取り出し続けられる可能性はかなり高いと思う。

<映像終了>

備考: この実験の後、Steve corking氏は回転に耐えつつ、反転する運動性能を維持可能な無生物の装置を製作してこの実験に用いる映像を残し続けている。いずれに於いても耐久性の問題から半成功という結果である。

 

映像記録1050-19 映像内日時1996年██月██日

<映像開始>

[中略]

Steve corking氏: 無限にエネルギーをこの部屋で発生させ続けて、それを部屋の外に持ち出し続けるのが私の目的な訳なんだけれども、他にも方法があるんじゃないかと最近は思い始めてきたんだ。この部屋にはものすごく頑丈なドアがあって一昨日は閉じ込められかけて大変だったでしょ? あれを開けっ放しにした状態で、一時的にでもエネルギーを発生させる何かを繰り返して行うだけで、地球規模では少しずつエネルギーが蓄積されるんじゃないかな。

本映像記録は以降、GOC側の機密に抵触するとしてデータが削除されていた。機密の抵触にあたらないとされた部分も、映像は削除されており、音声のみの記録となる。

Steve corking氏: あー、と、ラプラスの悪魔を使って未来の粒子を取り出そうとするのは、ドアを閉めてやった方が良かったみたいです。カメラのレンズが割れちゃったから、買い換えるお金が貯まるまでは実験をやめておこうと思います。

[雑音。カメラを持ち上げた音と思われる]

Steve corking氏: うわあ、ひどいなこれ。映ってる? 地面がえぐれちゃってるけど、すごい閃光と音だった割には、大したことは無いみたいだ。もしかしたらこの部屋のことがまだ他の誰かにバレずに済むかも。でも、この部屋で発生したエネルギーをちゃんと外に取り出すことが出来るって分かっただけでも収穫だと思います。お金がなくてバイトの合間にやるしかないから、あんまり時間も取れなくなっちゃってるけど、希望を持って続けるよ。

<映像終了>

備考: この実験の際に発生した閃光について、財団とGOCはほぼ同時に調査を開始したと思われる。

 

映像記録1050-20 映像内日時1996年██月██日

<映像開始>

[中略]

Steve corking氏: 臨時収入が入って、すぐにカメラのレンズを取り替えられたよ。今回は、やっぱりマーフィーの法則に半回転機構を備えたものを使った実験にするよ。ラプラスの悪魔は危なすぎるってわかったし、バタートースト二つを背中合わせにして落とす方法は意味無いって結果も前々回にはっきりと出ちゃったしね。

持参した半回転機構を備えた自動装置のセッティングを開始する。

Steve corking氏: そういえば、スランプだからこんな話するわけじゃないけれど。

Steve corking氏の手が止まり、カメラから視線を切って遠くを見るようにして語り始める。

Steve corking氏: あの人が言ってたのを思い出したよ。『シュレーディンガーの猫』だけは絶対するなって。一体どういうことなんだろうね。

準備を再開するが、その間も話し続ける。気だるげで、疲れているような様子が伺える。

Steve corking氏: シュレーディンガーの猫ってのは、ノイマン-ウィグナー理論、だったかな? それに対する反論として出てきた思考実験で、意識や認識に関わらず、物事のランダム性は全て常に存在し続けていて重なり合っている状態だっていうもの、だったと思う。猫を閉じ込めて、観測者から生きているか死んでいるか分からない状態にすることで、観測で結果が収斂するまで生きている状態と死んでいる状態がちゃんと重なって存在しているんだっていう、まあ思考実験なんだけどね、すごいよね。頭おかしいと思うよ。現代じゃ重なり合った並行世界の存在、にまでそれが飛躍しちゃうんだから。物理学は狂気だよね。私が言えたことじゃないけど。でも生きてるか死んでるか分からないから、そのどっちもが存在していることにするって、知的生命体として色んなものを捨てないとそんなことは考えられないんじゃないかな。面白いプロセスだと思うけどね。

[数回のノック音]

Steve corking氏が独り言をやめて驚いた様子で顔を上げる。その視線はドアの方に向いていると思われる。

男性の声(後にGOCエージェント涼川 安渓と断定): すいません、██交番の者ですが、誰かいますか?

Steve corking氏が慌てた様子でドアの方へ走って行き、画面から見切れる。

[ドアの開く音]

[衝撃音](涼川 安渓の証言により、Steve corking氏が昏倒し転倒した際の音と断定)

男性の声: こちら涼川、対象βと思われる人物を確保しました。いえ、救護班を至急送ってください。新しい昏倒薬が強力すぎて、支える暇が無くて。対象βが後頭部を強打した可能性があります。調査は続行します。

画面内に複数のSteve corking氏が出現する

次々と異なる地点にSteve corking氏が出現し続ける。涼川 安渓の姿も複数確認できる。うち、同一点でほぼ同時に重なり合うようにして出現した個体については重複部位が即座に爆散しているように見える。

カメラのレンズに血液が付着する。

[叫び声]

[ドアを閉める音]

[叫び声]

[複数の衝撃音]


[破壊音]

<映像終了>

備考: 涼川 安渓本人はSteve corking氏の複数出現の時点で退去し、SCP-1050-JPのドアを閉めた。この後、SCP-1050-JPはGOCの管理下に置かれたと見られる。

映像記録1050-20内に於いて、Steve corking氏はシュレーディンガーの猫について不確実ながらも解説し、実験方法に触れ、結果予測について無意識に示唆していました。それらの情報が同時にカメラの記録容量に記録されたことで、"理論と実験方法と結果予測が記された媒体"がSCP-1050-JP内に存在した状態でそれを読み上げた、と扱われたものと見られています。

 

その上で、Steve corking氏がカメラの画面外で昏倒して後頭部を強打したという情報が"カメラという観測者"にもたらされ、同観測者の視点からSteve corking氏の生死が重なり合った状態に移行したことで「シュレーディンガーの猫」の実験がSCP-1050-JP内で発動したと思われます。

そして、それに基づいた物理法則の変容がSCP-1050-JP内で行われた結果、ありとあらゆる可能性の世界がSCP-1050-JP内に存在する、という環境が形成されてしまった、という仮説が有力視されています。

 

シュレーディンガーの猫が、部分的に複数の並行世界の存在を示唆する可能性を持つとしても、SCP-1050-JPの独自の基準に於いて、それらが「同一の物質界に存在するもの」との解釈のもとで物理法則の変容が実行されたのは大変な問題を生み出した。

ありとあらゆるあの部屋内部に於ける可能性の世界が、SCP-1050-JPの内部に出現し続けるのである。選択されることも、観測する者もいなくなったあの部屋で、無限の可能性が一つの物質界に詰め込まれ続ける。

GOCのエージェントがもし逃げる際にちゃんとドアを閉めてくれていなかったら、この宇宙は既にあの部屋から溢れ出した無数のSteve corking氏によって埋め尽くされていたであろう。

しかし、ドアが閉められたことで、また異なる問題が発生している。

SCP-1050-JPは破壊されることなく、ドアも開こうとしなければ決して開かない。

限られた密室の中で無数の可能性世界の物質が詰め込まれ、あの空間が原子で満杯になっても、まだ次々と詰め込まれる。

限界を超えて詰め込まれ、原子崩壊が誘発され、膨大な崩壊熱が蓄積しても、まだ詰め込まれる。そしてそれらのエネルギーの出口は存在しない。ドア以外は。

──大右博士

 

Steve corking氏が自宅に遺した映像から、SCP-1050-JPが内部に物質を出現させ続けるペースを大まかな推測として試算した場合、内部に蓄積したエネルギーは既に宇宙を6つほど作れる熱量ではないかと思われます。

このような環境下である場合、本物のSteve corking氏は死亡している可能性が高いと言えますが、その事実が観測されたことは無く、涼川 安渓も生死確認をする前に異常が発生し危険を感じたので撤退した、と証言していました。

 

あの部屋の内部で何が起きているのか、それはどこまで正しくても推測に過ぎない。これ以上無い確信があったとしても、それは可能性を収斂させない。

それこそが、管理を財団へ託した理由である。

観測が必要である。

なんとしてもSteve corkingたった一人の死を観測し、実験を終わらせなくてはならない。

 

現在、GOCと共同でSCP-1050-JPの調査と研究が行われています。

本オブジェクトの情報はGOC内に於いては最高機密扱いであることに留意してください。

また、本オブジェクトの持つ危険性の収容が、現在本オブジェクトの持つ未解明の異常性に依拠する形となっていることから、SCP-1050-JPはKeterクラスへの分類が妥当であると見なされました。


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64

Created_by

locker

Created_at

2017-08-31 21:28:36

Tags

世界オカルト連合, デスコン17, 観測, 破壊不能, 建造物, 外部エントロピー, scp-jp, keter,

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