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SCP-372-JP - 熱々のラーメン

ItemNumber

SCP-372-JP

Object Class

Neutralized

Protocol

SCP-372-JPは内部に断熱処理と防水加工を施した低脅威物品保管用ロッカーに、容器を固定された状態で収容されます。SCP-372-JPは異常性を失いました。対象は無力化済物品収容室に保管されます。

Description

SCP-372-JPは一般的に「丼」と呼称される器です。非活性時には空の状態を維持しますが、人間が50cm以内に近付くと、内部に一般的にラーメンと呼称される麺料理に酷似した物質が出現します。味及び殆どの成分は一般的な醤油ラーメンと同じものですが、後述する強盗殺人事件の被害者である坂本一家全員のDNAが麺に少量含まれています。摂食に問題はありませんが、非常に高温であり活性中は常にその温度を維持し続ける為、摂食者が火傷を負う危険性があります。この特性のため、SCP-372-JPから出現するラーメンを完食するのは困難です。

SCP-372-JPの持つ特異性は出現したラーメンを摂食した時点で発現します。このオブジェクトを摂食した人物は一定の位置からの第三者1の視点で、坂本一家を写した様々な場面の映像を想起します。摂食者はこの際5分から10分程の時間の経過を覚えますが実際には1秒から3秒程度しか経過しておらず、想起されるのは映像のみで音声は無い事が報告されています。

SCP-372-JPは1994/5/10に大阪府のラーメン店舗で起きた坂本一家強盗殺人事件の現場から発見されました。SCP-372-JPを摂食した際に想起される映像は、このラーメン店舗の経営者である、坂本和彦、及びその妻である美栄、息子である芳雄の3名の生活風景であると推測されています。坂本一家とSCP-372-JPの関係性の調査はSCP-372-JPがNeutrlized指定されるまで行われていましたが、現在は打ち切られています。

以下は摂食実験を行った際の内容のリスト2です。実験に参加したDクラス職員からの想起した内容の描写と体感した時間に関する報告を元に作成されています。

摂食回数   体感時間 想起された映像の内容
1口目 25分 ラーメン丼の中からの視点。客と思われる未知の男性がラーメンをすすっている。客はラーメンを完食し、美味であることを述べて店から出て行く。レジに立っている坂本美栄は事件時の容姿より10年ほど若いように見える。
5口目 10分 2、3歳頃であろう、坂本芳雄が危うく湯の入った寸動鍋をひっくり返しそうになる。かろうじて坂本和彦がそれを止めるが、手に火傷を負う。
9口目 15分 坂本芳雄が息を吹きかけながらラーメンを摂食しているところを、坂本美栄が見ている。 坂本芳雄は5口目より成長し、6歳前後に見える。
18口目 20分 坂本和彦と坂本美栄が恐らくグルメ雑誌の記者と思われる人物にインタビューを受けている。3坂本和彦の手には火傷の痕が残っている。店は店舗兼自宅に改築され、これまでの映像よりも広くなっている。
27口目 10分 坂本芳雄が坂本和彦の横で、見よう見まねで野菜を切っている。坂本芳雄は9口目の映像より成長し、10歳前後に見える。
完食 1時間以上 視点の位置及び現場から考えると坂本一家は睡眠中であると思われる。坂本和彦が、何かに気づき、起き上がったところに、坂本一家強盗殺人事件の犯人である[編集済]が襲いかかる。[編集済]はバットで数回坂本和彦を殴打した後、飛びかかった坂本美栄を突き飛ばし、頭部を殴打。坂本美栄がかばった坂本芳雄に、バットを振り下ろす。坂本美栄及び坂本芳雄はこれ以降横たわり、動かない。坂本和彦は2人に這いよるが、再び[編集済]に殴打され、動かなくなる。その後、繰り返し[編集済]は坂本一家を殴打し、飛び散った体組織と思われるものが視点にへばりつく。[編集済]は預金通帳及び現金を奪い、逃走。これは1994/5/10の強盗殺人事件の犯行中の映像と思われる。
補遺1: SCP-372-JPの第一発見者であり、坂本一家強盗殺人事件の担当警察官である███ ██からの聞き取り調査の抜粋です。幾つかの警察用語に関しては、一般的な言葉に置き換えられています。

あんな酷い現場は、12年警察官をやってきて初めて見たものでした。

現場に入って最初に目にしたのは、あの店舗兼自宅の、六畳間のちゃぶ台の上に丼が置かれてたことです。

その中に、赤いものと白いものが入っていたんです。最初、ラーメンが放置されているのか、って思いました。

でも、よく見たら、それはラーメンじゃなくて、飛び散った脳味噌と血液だったんですよ。それが器の中にへばりついていたんです。

あの一家は酷いものでした。服装以外で、誰が誰だかを見分けられなかったんですよ。頭を滅茶苦茶に鈍器で殴り潰されていて、そりゃ脳味噌が卓の上の丼に飛び込んでもおかしくないな、と私は思いました。

たった10歳の男の子の頭をあんな滅茶苦茶に殴った奴っていうのは外道としか形容できません。

(中略)

でも、あの後に冒涜的な真似がありました。現場から押収したその丼に、いつの間にかラーメンをよそっていた奴がいたんですよ。

証拠品を保管する部屋から匂いがしてきましてね、見たら、出来立てのラーメンが放置されていたんですよ。

そうですか、そういう真似をした犯人を捕まえるからその器を回収されるんですね。よろしくお願いします。本庁の上の方なら、そのへんのことも慣れていらっしゃるでしょう。ぜひ厳正な処分をおねがいしますよ。

補遺2: 実験から4ヶ月後の1999/8/7に、D-18782は新しく雇用されたDクラス職員であるD-25111を娯楽室内でペンを使い刺殺し、拘束されました。D-25111は坂本一家強盗殺人事件の主犯であり、5ヶ月前に死刑判決を受けたため財団と契約し、Dクラス職員として雇用されていました。以下はD-18782の証言を文字起こししたものです。

ああ、博士。俺は何も、とち狂ってああいう真似をしたわけじゃない。俺はさ、そりゃ死刑囚なんだから、くずだよ。職場で上司をやっちまったんだからさ。わかってるさ。けどさ、実験に参加して、ずっと模範的な……えっと、ああ。Dクラスでいたんだよ。

ほら、「なんでそれをフイにしたんだ」っていいたいんだろ。でもな、あれは、あればっかりはああする必要があったんだ。あいつと俺は、直接会ったわけじゃない。あのラーメンを通して出会ったんだ。

別に、あの映像を見た時は、テレビ見てるみたいなもんだったさ。俺、そんな見ず知らずのやつに同情したりしないよ。

けど、けどさ。なんでか知らないけど、あいつの顔を見た瞬間、とんでもなくあいつの事を憎く思ってさ……うん、ボールペンでも刺せば死ぬんだな。

(中略)

あのさ。俺、なんであんな映像を見ただけで、あいつの事を殺したいって思ったのか、ちょっとわかったかもしれないよ。

多分、多分だけどさ。あのラーメンって、煮えたぎったはらわた、いや、多分、怒りで煮えてる脳味噌だと思うんだよ。ほら、最後の映像であの家族はさ、脳味噌とかいろいろこっちに飛んできてたじゃん。

俺、俺さ、それを食っちゃったから、だからあんな俺はムカついたんだと思う。あれが熱すぎたのは、あの家族の憎しみの温度なんだと思うんだ。

この事件以降、SCP-372-JPは活動を停止しています。SCP-372-JPはNeutralized指定されました。


Footnotes

1. 映像の位置、坂本一家強盗殺人事件現場の現場写真を使用したシミュレーションなどを経た結果、恐らくテーブルや食器棚、厨房に置かれていた「ラーメン丼」の視点から撮影されているのではないか、という推測がなされています。

2. 優れた体内時計を持つと判断されたDクラス職員、D-18782を使用しました。

3. 会話の内容から、これは1990年7月に出版されたローカル誌、『Osakaめぐりナビ 8月号』に掲載されたラーメン店紹介記事の取材であると思われます。


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Created_by

ginger3738

Created_at

2016-03-21 19:21:23

Tags

共著, 食物, 精神影響, 容器, 外部エントロピー, scp-jp, safe,

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